【用途地域】用途地域って結局どこがいいの?

法規

家づくりや土地探しをする際、ハウスメーカーや不動産屋から、用途地域について説明を受けると思います。しかし、説明を受けたところで、

・結局どこがいいのか分からない

・うちの土地は〇〇地域だけど大丈夫なのか

という疑問が出てくるかもしれません。

今回はその疑問にお答えいたします。

結論から申し上げますと、

  • どの地域にも良し悪しあり
  • 閑静な住宅街を望むなら「第一種低層住居専用地域」が良い
  • 商業施設等が近くにあるなど利便性を望むなら「第一種住居地域など」が良い

その理由を解説していきます。

用途地域ってなに?

用途地域は都市計画区域の中の、市街化区域の中に定められる地域です。

(細かく言うと、市街化区域外に定められることもあります)

市街(都市)が無秩序に広がらないように、市街(都市)の中を用途に分けて区分し、それぞれに制限をかけています。

ここで、日本の国土を縮小した簡単なイラストを載せますので、市街化区域の位置付けを確認してみてください。

出典:国土交通省HP「都市計画制度の概要」

市街化区域というのは「すでに市街地を形成している区域、及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」と定義され、イラストの下に広がる市街地です。

このような都市化する市街地が無秩序に広がらないように、用途地域を定めている訳です。

一方、イラストの右上に広がる山林のような、放っておいても無秩序に市街化していかない土地は、どのような区域にも属しておらず、用途地域も定められません。

どんな種類と特徴がある?

種類と特徴

では、用途区域にはどんな種類と特徴があるの?という本題について説明していきます。

用途地域は合計13地域あり、大きく住宅系8地域、商業系2地域、工業系3地域に分類されます。

詳しくは以下の表をご確認ください。

出典:国土交通省HP「都市計画制度の概要」

表の上ほど規制が厳しくなり、下ほど緩和されます。

つまり、第一種低層住居専用地域では、住宅や関連する建築物しか建てられず、将来的にも閑静な住宅街が続きます。

静かな環境で暮らしていきたい方は、第一種低層住居専用地域を選ぶと良いでしょう。

逆に、第一種住居地域などでは、近くに商業施設が建っている、もしくは将来的に建つことも考えられます。

利便性を求める方なら、第一種住居地域などを選ぶと良いでしょう。

確認方法

用途地域の区分はどこを確認すれば良いか?

大抵の場合、物件の概要欄に記載されているはずです。

もし記載が無い場合でも、市町村のHPで、用途地域が地図上に色図付けされた「都市計画図」を確認することができます。

↓例えばここです。

柏市都市計画情報配信サービス (machi-info.jp)

リンク先に飛ぶと、この地図が確認できます。

この地図には、用途地域の他、容積率や建ぺい率、防火地域やその他制限区域等、市町村の法規制について確認できます。

一度、ご自身の土地の周辺を確認してみると良いでしょう。

以下は都市計画図のイメージです。

出典:国土交通省HP「都市計画制度の概要」

制限について

それぞれの地域での制限は、建築基準法で定められています。

制限は大きく分けて、建築の制限、高さの制限、建ぺい率・容積率の制限があります。

それぞれについて紹介していきます。

建築の制限

用途地域によって、建てられる建築物が変わってきます。

まずは下記の表をご覧ください

出典:柏市HP「用途地域における建築物の用途制限の概要」

表を見てわかります通り、住宅専用地域の方が、規制が厳しくなります。

住宅用の地域に家を建てたのに、数年後、隣にカラオケボックスができた・・・なんてことになったら困りますもんね。

逆に、例えば第一種住居地域では、将来的に小さなスーパー程度は建つ可能性があります。

高さの制限

建築物の高さについても地域よって制限が異なります。

そもそも高さの制限とは何か?簡単に説明します。

■高さ制限(斜線制限)

高さ制限(斜線制限)とは、建築物の高さの制限の一つで、建築物の高さは道路の境界線、または隣 地境界線から上方斜めに引た線の内側に収めなければならないというものです。

高さ制限(斜線制限)には、

  • 道路斜線制限
  • 隣地斜線制限
  • 北側斜線制限

の3つがあります。


ここでは高さの細かい計算方法については割愛しますが、どのような制限がかかってくるのかを紹介します。

例えば、道路斜線制限は以下のようなイメージです。

街中で、角が切れているマンションを見かけますよね。これは道路斜線制限によるものです。

(今は天空率というものができて、このようなマンションは減りました)

さて、このような高さ制限がどの用途地域にかかってくるのか。

●…適用アリ ×…適用ナシ道路斜線制限隣地斜線制限北側斜線制限絶対高さ制限
第一種低層住居専用地域×
第二種低層住居専用地域×
田園住居地域×
第一種中高層住居専用地域×
第二種中高層住居専用地域×
第一種住居地域××
第二種住居地域××
準住居地域××
近隣商業地域××
商業地域××
準工業地域××
工業地域××
工業専用地域××

絶対高さ制限は、10mか12mに定められるため、低層系住居地域では高い建物は建ちません。

北側斜線制限は、全体高さより少し緩いため、中高層系住居地域ではマンション程度は建ちます。

さらに隣地斜線制限は、北側斜線制限より緩いため、第一種住居地域などでは中高層ビルも建つ可能性があります。

建ぺい率・容積率の制限

そもそも建ぺい率・容積率とは何か?について簡単に説明します。

■建ぺい率

 敷地の面積に対する、建物の面積の割合をいいます。

 建ぺい率=建築面積/敷地面積×100(%)

■建ぺい率の最高限度

 用途地域別に定められた建ぺい率となります。

■容積率

 敷地の面積に対する、建物の延べ床面積の割合をいいます。

 容積率=延べ床面積/敷地面積×100(%)

■容積率の最高限度

 ▼前面道路が12m以上の場合

  用途地域別に定められた容積率

 ▼前面道路が12m未満の場合

  次のうち小さいほうとなります。

  ・用途地域別に定められた容積率

  ・前面道路の幅員×法定乗数

もっと砕けていうと、敷地に対してどのくらいギューギューに建物が建てられるか、という指標になります。

これらの指標が、用途地域によって異なってくるのです。

簡単な表を載せておきますので確認してみてください。

出典:国土交通省HP「都市計画制度の概要」

これを見てわかる通り、住宅系<工業系<商業系です。

値が大きければ大きいほど、敷地内ギューギューに建てられます。

駅周辺に建物が密集している理由が分かりますね。

まとめ

今回の内容は以上になります。いかがでしたでしょうか?

内容を改めてまとめてみますと、

  • どの地域にも良し悪しあり
  • 閑静な住宅街を望むなら「第一種低層住居専用地域」が良い
  • 商業施設等が近くにあるなど利便性を望むなら「第一種住居地域など」が良い

以上の通りとなります。

ここまで述べてきて何ですが、

実際にはその土地に行ってみて、景色や音、臭いなどを五感で感じてみることが一番です。

土地選びでお悩みの方は、ぜひ、一度その土地へ足を運んでみてください。

・・・今回初めての法律関連の投稿になりましたが、法律を簡潔に書くのって難しいですね。この先が心配になりました笑。何とか知恵を振り絞って頑張っていきたいものです。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました!

コメント

タイトルとURLをコピーしました