日本の家づくりで良く使用される工法として、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造があります。
ここでは、木造の特徴を簡単にまとめていきますので、
工法でお悩みの方の、ひとつの参考にしていただければ幸いです。
今回の結論。
✅木材は、軽くて加工性が良く、調湿性に優れている。
✅在来軸組工法は、構造面で不安だが、安価で設計の自由度が高い。
✅枠組壁工法は、耐震性・耐火性が高いが、将来的なリフォームがしにくい。
✅木造住宅は確認申請の審査が簡易。ただし2025年から変わる。
木材の特徴

日本は木材が手に入りやすく、昔から建築の材料として用いられてきました。
その特徴は、軽くて加工性が良く、調湿性に優れていることです。
日本のように四季がある気候には適している材料と言えます。
半面、耐震性、耐火性に乏しく、また腐食や反りなどの、ナマモノ特有の心配もあります。
しかし、現在は技術の進歩により、強く丈夫な建物を建てることも可能となってきました。
工法
木造といっても様々な工法があります。
ここでは代表的な工法について紹介していきます。
在来軸組工法

出典:公益財団法人日本住宅・木材技術センターHP
日本で昔から用いられている工法で、現在でも最も多く採用されています。柱と梁を主要構造とし、地震や風(水平力)には筋交いや構造用合板で抵抗します。そしてそれぞれの部材の接合部は、専用の緊結金物で固定します。
耐震性 △
比較的低いと言われています。
稀に起きる大地震の際には、築年数が古いものは倒壊の恐れがあります。
しかし近年(特に2000年の建築基準法改正以降)は、接合部の改良や、バランス良い壁の配置、大断面木材の採用等によって、大幅に改善されてきています。
耐火性 △
比較的低いと言われています。
耐火性を担保するには、耐火石膏ボードなどで被覆をしたり、燃えしろ設計(木の周辺部分が燃えても最低限の断面を確保する)などを採用する必要があります。
耐久性 △
比較的低いと言われています。
ナマモノですので、腐食やシロアリ被害、乾燥による反りなどの懸念があります。
省エネ性 〇
比較的高いです。
木は細かい空気を含んでおり、それが断熱の役割を果たします。また、調湿性があり、湿度を一定に保ってくれる役割があります。
経済性 ◎
安価です。
他の材料と比べて比較的材料費が安く、総建築コストを抑えることができます。また、取り扱い業者が多く、大手ハウスメーカーから工務店まで、依頼する業者の選択肢が広がります。
意匠性 ◎
高いです。
プランの自由度が高く、開口部も大きく取れます。また、筋交いや耐力壁以外の場所は自由に改変できるため、将来的なリフォームや増改築も可能です。
枠組壁工法

出典:公益財団法人日本住宅・木材技術センターHP
北米で発達した工法です。壁で主要構造を構成します。壁を支えるための枠組みに、2インチ×4インチ木材を使用することから「ツーバイフォー工法」とも呼ばれます。
耐震性 ◎
高いです。
壁で構成するため、剛性が高く、水平力にも対抗できます。また、規格化された材料を用い、基準化された方法で工事を行うため、均一な品質を確保できます。
耐火性 〇
比較的高いです。
枠組材がファイヤーストップ材となり、他の部屋への延焼を抑えることができます。ただし、木材であることは変わりないので、素材としての耐火性は低いといえます。
耐久性 △
比較的低いです。
在来軸組工法と同じく、木材ですので腐食などの懸念があります。
省エネ性 〇
比較的高いです。
壁で構成されるため、気密性が高いです。ただし、気密性が高いことから湿度が籠りやすく、カビの発生などが懸念されます。
経済性 △
比較的高価です。
そもそも大手ハウスメーカーが扱うことが多いため、単価は高めです。
意匠性 △
比較的低いです。
壁が命の工法なので、大きな開口部が取りにくいとされています。また、壁を抜くことが難しく、将来的なリフォームや増改築がしにくいのも特徴です。
木造住宅は審査が簡易?

一軒家のような小規模な木造建築物は、4号建築物といい、建築確認の際、構造や設備の一部の審査が免除されます(4号特例)。
つまり、一般の建築物より審査が簡易になります。
免除項目の中には構造計算書も含まれます。
ただし、審査が免除されるだけであって、建築基準法に適合させなくて良いということではありません。
もちろん構造計算も必要です。(具体的には仕様規定への適合が必要。構造計算した場合は構造計算書の添付が必要になる。)
つまりは設計者の責任に委ねられる、ということです。
この点をどうように受け取るかは、施主次第ということになります。
(参考)法的な解説
建築確認とは、建築の計画が法に適合しているかを、行政、または民間機関により確認する行為をいいます。
建築確認が必要な建築物は、建築基準法第6条1項により定められています。
4号建築物とは、同項の4号にあたる建築物のことを指します。
4号建築物は、建築基準法第6条の4第1項3号により、建築確認の際の審査項目の免除が規定され、
具体的な免除項目については、建築基準法施行令第10条第1項3号および4号によって定められています。
(参考)建築基準法第6条第1項の要約~建築確認が必要な建築物
■1号
特殊建築物で200㎡を超えるもの
※住宅や事務所は特殊建築物に該当しません
■2号
木造で以下のいずれかに該当するもの
・3階以上
・延べ面積が500㎡超
・高さが13m超
・軒の高さが9m超
■3号
木造以外の建築物で以下のいずれかに該当するもの
・2階以上
・延べ面積が200㎡超
■4号
1~3号以外の建築物。いわゆる4号建築物。
一般的な2階建ての木造住宅もこれに該当します。
(参考)2025年に考え方が変わります
この4号建築物の考え方は2025年に変わります。
具体的には、4号建築物の条文が無くなり、新2号、新3号となります。
引き続き免除対象となるのは、木造で平屋かつ、200㎡以下の建築物(新3号)となり、
それ以外の建築物は免除から除外されます(構造計算書も必要になります)。
まとめ
木材には香りや肌触りなど、数字では表せない魅力がありますよね。
今回の内容を参考にしていただき、最後はご自身の好みで工法を決定いただければと思います。
今回の内容をまとめますと、
✅木材は、軽くて加工性が良く、調湿性に優れている。
✅在来軸組工法は、構造面で不安だが、安価で設計の自由度が高い。
✅枠組壁工法は、耐震性・耐火性が高いが、将来的なリフォームがしにくい。
✅木造住宅は確認申請の審査が簡易。ただし2025年から変わる。
ここまでご覧いただきありがとうございました!
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